データベース

Database

環境・生態系破壊
2025.12.17
好評のB&G特別レクチャー講演 第1部

地球環境とプラスチック汚染の現況

簡単にポイントがわかるダイジェスト公開

B&Gは12月6日に異常気象とプラスチック汚染の現況と課題を考える、特別レクチャーを開催しました。YouTube中継もしましたが、問題点がわかりやすいなどの好評をいただきました。そこで当日の講演の映像を再録し、その講演の要旨もつけて以下3回に分け掲載します。

各回とも最初に要旨をお読みいただくと各課題のPOINTが分かり易く把握いただけると思います。

 講演ではB&G創立提案者の浅井隆氏が「地球環境問題と人類の歩み、精神革命の必要性」を、B&Gの母体の一般社団法人「世界の子どもたちのために」の樺沢暢之代表理事が「プラスチック汚染の現況と健康影響、先進地域での対策」について話をされました。最後に東海大学の清水宗茂教授が「魚介類や食品、容器におけるマイクロプラスチック混入と、その体外排泄の可能性」について解説しています。

ご利用の上、ご意見などお寄せください。またご質問などありましたらB&G事務局にメールで問い合わせください。


第1部 B&G創立提案者 浅井 隆氏

「地球環境問題と人類の歩み、精神革命の必要性」

以下もご参照ください。

第2部 「プラスチックの現況と健康影響・先進地域の取り組み」樺沢暢之氏
第3部 「魚介類や食品へのマイクロプラスチックの混入と排泄の可能性」清水宗茂氏

浅井氏の講演の要旨は以下の通りです。


1.地球環境の深刻化

  • 地球環境問題は遠い将来の話ではなく、すでに現在進行形で人類の生活と命を脅かしている。
  • 気候変動により、異常高温だけでなく、豪雨・洪水・山火事が世界各地で頻発している。
  • 日本でも集中豪雨による被害が深刻化しており、浅井氏自身も鹿児島・霧島で命の危険を感じる線状降水帯を体験をした。
  • 海外ではパキスタン、ギリシャ、トルコ、インドなどで、洪水・山火事・海洋汚染が同時多発的に発生している。
  • プラスチック汚染は海洋だけでなく、大気中にも広がり、南極・北極・深海・富士山上空にまで到達している。
  • このまま現在の経済活動を続ければ、数年以内に「引き返せない転換点(ティッピングポイント)」を越える危険がある。
  • 氷床融解が進めば、東京・大阪を含む大都市が水没する可能性がある。

2. 健康被害への影響

  • マイクロプラスチックやナノプラスチックが空気・水・食物を通じて人体に取り込まれている。
  • 人は1週間にクレジットカード1枚分相当のプラスチックを体内に取り込んでいるという研究報告がある。
  • プラスチックや化学物質は脳や臓器に蓄積し、がんや難病、原因不明の疾患増加との関連が懸念されている。
  • 農薬・除草剤の大量使用により、子どもの神経系異常や行動異常が増えているという医療現場からの証言がある。
  • 化学物質は数千〜1万種類以上使われており、相互作用や長期影響はほとんど解明されていない。
  • コンビニ食品、カップ麺、化粧品など日常生活の中に健康リスクが広く存在している。
  • 環境汚染は次世代の健康や出生にも影響を及ぼしている可能性がある。

3. 人類と地球の関係性・歴史

  • 人類文明は知性だけで築かれたのではなく、過去約1万年間の安定した気候条件に支えられて成立した。
  • グリーンランドの氷床コア研究により、農業と定住が可能だったのは気温変動が極めて小さかったからだと分かった。
  • 人類史では、環境の限界に達したときに価値観や精神性の大転換が起きてきた。
  • 約5万年前、狩猟の限界に達したことで、芸術や精神文化が生まれる「第一の心の革命」が起きた。
  • 約2500年前、農耕社会の限界を背景に、仏教・儒教・老荘思想・一神教・ギリシャ哲学などが誕生した(枢軸時代)。
  • 現代は近代化と成長主義の結果、再び地球の限界に達しつつあり、「第三の心の革命」が求められている。
  • 人間は地球生態系の一部にすぎず、他の生物と切り離されて生きることはできない。

4.環境危機の9つの項目(地球の限界)

  • ① 富栄養化
    化学肥料(窒素・リン)が川や海に流れ込み、赤潮などを引き起こし、すでに限界超過。
  • ② 淡水資源
    世界的には深刻化しているが、日本は現時点では比較的恵まれている。
  • ③ 森林破壊
    限界は25%とされるが、すでに世界の森林の約40%が破壊されている。
  • ④ 生物多様性の喪失
    多くの種が絶滅しており、限界を超過。生態系全体が崩壊しつつある。
  • ⑤ 気候変動
    気温上昇と異常気象が加速し、すでに安全圏を超えている。
  • ⑥ 海洋酸性化
    現在は臨界前だが、過去の大量絶滅の主因とされる。
  • ⑦ 化学物質・汚染物質
    プラスチックを含む人工物質が制御不能な形で拡散。
  • ⑧ 大気汚染
    人体と生態系への影響が深刻化。
  • ⑨ オゾン層など地球システムの変化
    一部は改善例もあるが、全体として不安定化が進んでいる。

5.今後のビジョン(浅井氏の提案)

  • 「成長・拡大・GDP中心」という文明の基本概念を根本から見直す必要がある。
  • 「少ない方が豊か」「心の豊かさ」を重視する社会へ転換する。
  • プラスチック削減のため、ガラス瓶のデポジット制など循環型経済を導入する。
  • 経済と環境を対立させるのではなく、環境を守ることが経済を支える仕組みをつくる。
  • 技術革新だけでなく、価値観・哲学・倫理の転換=「第三の心の革命」が不可欠。
  • 日本から普遍的な思想とモデルを世界に発信し、人類の持続可能な未来に貢献したい。
  • 今行動しなければ、次世代に取り返しのつかない負担を残すことになる。