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私たちが取り組むB&G・プロジェクトは、その目標の一つとして、「成長、膨張、物質的豊かさの追求」というこれまでの社会の根本概念を覆す、全く新しい哲学、思想、概念(パラダイム)の創造と新しい経済システムの構築を目指しています。そのために参考になる基本的な文献や映像資料を、地域のB&G活動を担う特命全権大使の脇義明さんが選択、推奨してくださいました。
資料は科学書、ノンフィクション、ドキュメンタリー映画、SF、古代思想書といった多様なジャンルにわたり、単なる知識の紹介にとどまらず、今の人類、世界が直面する複合的課題を読み解こうとする意欲的なガイドになっています。(文末に補足します)
脇 義明さんの推奨文献資料

く地球環境を考える上での参考本及び参考DVDなど一覧>
1.文庫本一ノンフィクション・随筆・小説・マンガ等
「宇宙船地球号 操縦マニュアル」バックミンスター・フラー著
「沈黙の春」「われらをめぐる海」レイチェル・カーソン著
「ガラスの地球を救え―二十一世紀の君たちヘー」手塚治虫著
「宇宙からの帰還」立花 隆著/「風塵抄一・ニ」司馬遼太郎著
「生命誌とは何か」中村桂子著/「木に学べ」西岡常一著
「渚にて―人類最後の日」ネヴィル・シュート著(SF)
「チョウたちの時間」山田正紀著(SF)
「ボッコちゃん」星新一著(SF)
「マンガ 老荘の思想」察 志忠画/「墨子よみがえる」半藤一利著
2.新書本ーノンフィクション・データ・随筆等
「ホセ・ムヒカ 日本人に伝えたい本当のメッセージ」萩 一晶著
「人類と地球の大問題」丹羽宇一郎著
「資源の世界地図」飛田雅則著/「水の戦争」橋本淳司著
「文明の衝突と2 1世紀の日本」サミュエル・ハンチントン著
3.単行本 ノンフィクション・随筆・歴史等
「奪われし未来[増補改訂版]」井口泰泉著
アル・ゴア 未来を語る一世界を動かす6つの要因」
「気候変動の文明史」安川吉憲著
「ガイアの科学 地球生命圏」・「ノヴァセン」J.E.ラブロック著
「ミドリムシ大活躍!」石川憲二著
「60分でわかる! SDGs超入門」バウンド著
「戦略物資の未来地図」小山 堅著
「人類の未来を変える核融合エネルギー」核融合エネルギーフォーラム編
「水素エネルギーで飛躍するビジネス」西脇文男著
「ホモ・デウス 上・下」ユヴァル・ノア・ハラリ著
「ローマから日本が見える」塩野七生著
4.DVDー映画(洋画)・ノンフィクション・アニメーション等
洋画=「2 0 1 2」/「Day After Tomorrow」
ノンフィクション=「不都合な真実 1 • 2」
アニメーション=「もののけ姫」・「平成狸合戦ぽんぽこ」スタジオ・ジブリ/
「火の鳥 未来編」手塚治虫/「木を植えた男」原作ジャン・ジオノ
「宇宙線地球号 操縦マニュアル」、「宇宙からの帰還」、「ガラスの地球を救え」は各々宇宙からの視点で地球を眺め、宇宙の全体から見れば、地球はちっぽけな一つの天体に過ぎないが、人類にとっては美しくもかけがえのない青き水を湛えた雄大な自然を有する唯一無二の場所と訴えています。
しかも、地球には微生物を始め、植物から動物(人間も含む)までのあらゆる生命体が存在しており、それらを人間だけの利己的行動で温暖化・森林伐採などにより環境を破壊したり、森林火災、洪水や干ばつなどの人的自然災害をもたらすことは許されません。したがって、地球上のあらゆる生き物との共存を目指しつつ美しく豊かな自然環境を後世に残すことこそ我々の務めであると訴えます。
同趣旨のものとして更に「地球生命圏 ガイアの科学」「ノヴァセン」を付け加えます。ともにJ.E.ラブロック著作です。
「沈黙の春」「奪われし未来」は、化学薬品や化学物質の汚染が環境に悪影響を及ぼし、直接·間接的に人体や動物等の生物全体を汚染まみれにし、更には食物連鎖が汚染を加速させた実態を告発しています。現代のマイクロプラスチック汚染の原型とも言える2作です。
「気候変動の文明史」はまさに地球全体の気候変動と人類文明の 歴史—過去と現在の発信から未来の予測を語るノンフィクションです。
「アル・ゴア 未来を語る一世界を動かす6つの要因」は地球規模の変化の原動力となっている経済・情報・権力・人口・生命科学・環境という6つの要因を考えながら、私たちはいま何をすべきかを問いかける現実を踏まえたエッセイ集になっています。
「60分で分かる! SDGs入門」は、SDGsをどのようにしてビジネスと組合わせるかを具体的に提言しています。
「渚にて一人類最後の日」では、第三次世界大戦による核戦争後の放射能汚染を描きます。人類滅亡までの10日間弱しかない状況で、生き残っていた米国製の原子力潜水艦の乗組員とオーストラリアの住民を巡る静かに進行する核戦争の恐怖を訴えるSF物語です。
「チョウたちの時間」もSFで、原子爆弾製造を巡り、ドイツ物理学者たちの葛藤と新素粒子を予言しながら失踪したエットーレ・マヨラナを主人公として、歴史を修復して原爆製造を回避させようとする物語です。
「ボッコちゃん」は短編SF集で、特にそこに収録されている『おーいでてこーい』は、現在の環境問題を先取りしたブラックユーモアの秀作といえます。
2011年3月11日の東日本大震災では、原子力発電所で事故が発生するとウランの核分裂により放射能を大量に放出して、人間には制御不能であることがわかりました。「人類の未来を考える核融合エネルギー」は、同じ核でも重水素と三重水素の核融合で無害のヘリウムを排出する究極のエネルギーとしての核融合発電を使ったエネルギーの概要を説明する科学書です。
「水素エネルギーで飛躍するビジネス」は、水素エネルギーの持つ可能性と将来性をビジネスの観点から述べており、カーボン・ニュートラルの観点からも有効であることを説きます。燃料電池、自動車、航空機及び船舶などに利用可能で、コスト面の問題があるものの日本の自動車業界は、電力を膨大に必要とするEVではなく、エンジンの優位性を保てる水素エンジン自動車に移行すべきことを示唆しています。
他に「ミドリムシ大活躍!」石川憲二著もお勧めです。バイオエネルギーやバイオプラスチックの石油に代わるミドリムシ(ユーグレナ=単細胞生物)の大きな可能性がわかります。

「不都合な真実1 • 2」は元民主党・副大統領のアル・ゴア氏が、自らが世界中を旅しながら、温暖化による具体的な災害―氷山崩落や氷河の溶解による後退、洪水、干ばつ、海面上昇などを取材して地球温暖化の脅威を切実に訴える必見のドキュメンタリー映画です。
「マンガ老荘の思想」「墨子よみがえる」は、いずれも中国・戦国時代(春秋時代の後)の思想家について、分かりやすく解説した書で、権力闘争に明け暮れた中国・戦国時代と現在の軍事力による支配の世相と類似していることから参考になるのでは、と考えます。
中国の戦国時代は下剋上の激しい争乱の世でしたが、一方で文化的には諸子百家が活発に思想を展開した時代でもありました。たとえば、「儒家」の孔子・孟子・荀子、「道家」の老子・荘子、「墨家」の墨子、「法家」の商鞅・韓非子、「兵家」の孫子・呉子など、まさに百家争鳴の様相を呈していました。
とりわけ老子と荘子は、のちに「老荘思想」と総称される思想体系を築き、後世の人物にも大きな影響を与えています。坂本龍馬が「世に生を得るは事を成すにあり」「我が成す事は我のみぞ知る」などの言葉を好んで用いたことは、彼が老荘思想の影響を受けていたことを示唆しています。
●老荘思想とは
老荘思想は「平和主義(争いを避ける)」、「無為自然(人の作為や欲望を捨て、宇宙の根源である道=タオの流れに従って生きる)」、「万物斉同(ばんぶつせいどう=万物は道の前では上下・善悪・美醜・生死といった区別なく等価であるとする絶対的調和の思想)」などを中心概念とします。
また、墨子は戦争に正義はないと説き、人財を尊重する政治こそが正しいと主張しました。
●墨子思想(墨家の中心理念)とは
・兼愛:自他・自国他国を問わずすべての人を平等に愛する無差別の博愛思想。儒家の「別愛」(身内を優先する愛)を批判し、争いの根源を絶とうとしました。
・非攻:侵略戦争を否定し、とりわけ大国が小国を攻める行為を厳しく非難する平和主義です。
実際の墨家は、「兼愛」「非攻」を唱えるだけにとどまらず、侵略される弱小国に自ら赴き、城砦防衛技術(いわゆる墨守)を用いて実践的に防衛を支援するなど、平和の実現に行動をもって取り組みました。
※その他、「風塵抄ー・ニ」、「人類と世界の大問題」「水の問題」、「ホセ・ムヒカの日本人に伝えたい本当のこと」、「資源の世界地図」及び「ホモ・デウス上・下」、「ローマから世界が見える」、「戦略 物資の世界地図」などは、環境問題や食糧·水問題などを広範に考える際の指標にしていただけると幸いです。
以上
(編集部から)
脇氏のこの紹介は、環境問題や戦争、エネルギーなど現代の複合的課題を、科学書やドキュメンタリー、SF、小説、古代思想書など多様な文献・映像を用いて立体的に描き出しているのが特徴です。これらを情報源ではなく、問いを生む「思考装置」として機能させ、読者に能動的な思考を促す構成となっています。科学的データが現状を、SFが未来を、思想が価値判断を補完し、単なる知識伝達にとどまっていません。さらに、核融合や水素エネルギーなどの技術的代替案にも触れ、悲観や理想論に偏らず、実践的判断の材料が提示されています。終末論に陥らず、未来世代への責任を静かに問いかける姿勢は、大いに参考になると思います。

【略歴】
脇 義明(歌人名:一路 旅人木=いちろ りょじんぼく)
専門学校卒業後、学研専属プロダクションにて、高校3年コース等の編集業務に携わる。私立大学・第二法学部卒業後に、エレクトロニクス関連の独立系商社「マクニカ」にて、主に半導体(IC)関連の新規・既存顧客の開拓並びに国内外の新規・既存仕入れ先製品拡販のため、顧客営業及び戦略マーケティングに従事する。2年間、私立の法科大学院で法律を学ぶ。IT関連のベンチャー企業のNewBiz推進室にて、新規顧客開拓に伴う新規事業推進に従事。現在、短歌の作歌と共に環境問題等の課題解決のための研究に勤しむ。