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米ニューメキシコ大学のMatthew Campen氏らの研究(『Toxicological Sciences』2024年5月号)によって、人間の精巣には胎盤や動物の精巣の約3倍もの濃度のマイクロプラスチックが存在することが明らかになりました。この発見は、マイクロプラスチックが男性に特有の健康リスクをもたらす可能性を示唆しています。
研究チームは、男性23人と犬47匹の精巣サンプルを分析した結果、すべてからマイクロプラスチックを検出。人間の精巣中の平均濃度は328.44μg/gで、犬の約3倍に達していました。また、胎盤中の平均濃度(約126.8μg/g)と比較しても約3倍高い値が確認されました。
Campen氏は、マイクロプラスチックが内分泌かく乱化学物質(ビスフェノール類・PFAS・重金属など)を吸着し、不妊や精巣がんなどのリスクを高める可能性を指摘。特に、20〜45歳の男性では精巣の代謝が活発なため、より多くのマイクロプラスチックを取り込みやすい傾向があるとしています。
この研究は、マイクロプラスチックが体内でどのように分布し、生殖機能にどのような影響を及ぼすかを示す初の直接的な証拠の一つであり、Campen氏は「15年後には現在の2倍のプラスチック曝露になる」と警鐘を鳴らしています。
一部のマイクロプラスチックが精液の質の低下と相関しているという報告もあり、今後は、マイクロプラスチック削減とその健康影響の解明が急務とされています。