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米国医学誌『New England Journal of Medicine(NEJM)』(2024年3月7日号)に掲載されたイタリア・カンパニア大学の研究によると、頸動脈プラーク内にマイクロプラスチックやナノプラスチック(MNP)が存在する患者は、心血管イベント(心臓や血管に関する重大な発作や異常などを起こすこと)および死亡リスクが有意に高いことが明らかになりました。
研究は、無症候性頸動脈疾患で内膜切除術を予定していた患者304名を対象に行われ、頸動脈プラークを採取してMNPの有無を分析しました。その結果、約58%の患者のプラークからポリエチレンが、同じく約12%のプラークからポリ塩化ビニル(PVC)が検出されました。電子顕微鏡では、マクロファージ間にギザギザした微小な異物が確認され、プラスチック由来であることが示唆されました。
追跡期間(中央値約34か月)の結果、プラーク中にMNPが検出された患者は、心筋梗塞・脳卒中・全死因死亡の複合リスクが4.53倍に上昇していました
この研究は、マイクロプラスチックが心血管疾患の新たなリスク因子である可能性を人間レベルで初めて直接示した重要な報告といえます。日常生活でのプラスチック曝露(触れたり吸い込んだりして体内に取り込むこと)を減らすことが、将来的な健康リスク低減に繋がると考えられます。