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(四万十市のトンボ自然公園)

――― 今後、我々は何を、どう取り組むべきだと考えますか。
人類は『万物の霊長』などと偉そうに振る舞っていますよね。でも、所詮は地球生態系に依存して生命をつないでいる生物の一種に過ぎない存在です。そんな私たちが健康的に暮らしていくためには数多いる生物の食物連鎖による浄化作用と食糧調達作用が不可欠です。生物多様性を維持しなければならない理由は真にそこにあります。多くの野生生物が絶滅、もしくはその危機に瀕しているのに、特に都会に住む現代人の多くは無関心です。環境破壊の元凶ともいえる大量生産・大量消費、さらに合理性ばかりを追求する経済至上の『人間ファースト』社会を変えなければなりません。地球の未来と私たちの健康のために、多少の不便と非経済を受け入れる覚悟を持つべきだと思います。そうでないと、人類滅亡を早晩迎えることになるのではないでしょうか。私たち人類は今、根本的な変革に迫られていると思います。
――― 杉村さんは子どもたちに昆虫との触れ合いを勧めています。
心の荒廃が叫ばれる時代にあって、私は子どもたちに昆虫との触れ合いをどんどんさせるべきだと考えています。トンボも絶滅危機の例外ではなく、昆虫採集というと確かに眉をひそめる風潮があります。しかし、私の本音を言えば、虫の「生」や「死」を通じて学ぶことは多々あります。自ら虫を「殺す」ことへの罪悪感を伴いながら「いのち」に向き合い、一歩ずつ「生」の意味や重さを感受していくからです。
本来、昆虫採集は人間としての思いやりや心の痛みを推し量る心、感性の豊かさを醸成する絶好の機会なのです。人生哲学を自然環境から学び取って欲しい。現実に世間を震撼させる大犯罪人の多くは『虫も殺さぬような顔』をしているものです。私の活動を支えてくれるボランティアの仲間たちは、子どものころの虫や魚捕りを通じて、身近な自然に直に触れ合った楽しい経験や思い出を持つ人たちばかりです。
――― 「B&G」宣言、二分の一運動についてどう思いますか。
宣言文にもあるように、何事も経済優先の考えがまかり通る現代社会のありようが大きな問題だと、私も思っています。この現状を根本から変えていくことが極めて重要ですね。本当の「豊かさ」とは何か…人類は真剣に考えなければなりません。
自然保護に取り組むには、私財を投じなければならない場面が多くあって、私も当初はトンボの絵葉書販売や喫茶店経営で活動資金を賄っていました。その意味でも民間レベルで立ち上がったB&Gの存在を心強く思います。
B&Gが取り組もうとしている「二分の一運動」は、その経済優先社会に対する意識変革を一人ひとりの心に響かせる契機となる可能性があります。何故今、私たちが「二分の一」に取り組む必要があるのか、取り組むべきなのか、その背景を個々に考えさせる意義は極めて大きいと思います。未来の子どもたちのために、私は『トンボの眼』を通して、これからも自然環境保全の重要性を社会に訴え続けていきます。これ以上の地球環境破壊の流れを食い止めなければなりません。今がラストチャンスです。B&Gの皆さんとともに頑張りたいと思います。
(記事・インタビュー 岩田正博)

【高知全権大使 略歴】

岩田 正博 (いわた まさひろ)
大阪市出身。大学卒業後、毎日新聞大阪本社入社。記者として高知支局・京都支局・社会部などに配属。1994年に創設された公設「政策担当秘書」の資格試験合格(第1期)を機に、高知選出衆院議員秘書に。在任中に財務副大臣・金融大臣秘書官を歴任。2009年、春夏「甲子園」常連校、世界的プロゴルファー松山英樹、元横綱朝青龍らを輩出するなどスポーツ名門校として知られる明徳義塾中学・高等学校に迎えられ、理事長・校長の特命秘書として主に渉外全般を担当。特に国内中学・高校への海外留学生受け入れの制度化を文科省に働きかけ、同校へのアジアを中心とした10数ヵ国からの留学生在籍数を国内最多に導く。現在、同校顧問として校長を補佐し、後進の育成に努めている。