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気候・異常気象
2026.02.13
「水破産」 水の枯渇リスク高まる

国連が警告

今年に入り、日本国内でも地域によっては雨が少なく、水源の枯渇などが危惧されています。世界の水不足はより危機的状況にあり、国連はこの1月末、水危機は過去の水準に回復できない「水破産」に直面していると報告、警告を出しました。地球上での水の循環システムの崩壊を招く水破産とはどのようなものか。報告書の概略を紹介します。

報告書『Global Water Bankruptcy: Living Beyond Our Hydrological Means in the Post-Crisis Era(地球規模の水破産:ポスト危機時代における限界を超えた水利用)』は、国際連合大学(UNU)の国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)が発表しました。

    水破産を警告した報告書

「水破産(Water Bankruptcy)」という新しい概念
報告書は、従来の「水ストレス」や「水危機」という表現では現在の深刻さを捉えきれないとして、新たに「水破産」 という概念を定義しました。これは、
• 自然界が再生可能な水を供給するペースを越えて人間が水を使い続けた結果、
• 地下水層、湿地、氷河など、長期的な「自然の水貯蓄」まで枯渇し、
• 歴史的な水供給レベルや生態系の機能に戻れない状態に陥っている
というものです。
たとえば、貯金(地下水・氷河)を使い果たしてしまい、元に戻せない「破産状態」と似ています。

. 世界の実態
報告書では、次のような実態を挙げています。
• 湖、川、湿地、氷河、帯水層(地下水)の多くが回復不能なレベルで枯渇している。
• 70%以上の主要な帯水層が長期的に減少傾向にある。
• 沈下する地盤に住む人々は20億人にのぼる。
• 世界の大湖の半分以上が1990年代以降に水量を失っている。
• 世界の約40億人が年間1か月以上の深刻な水不足を経験している。
• 農業は淡水の約70%を使用し、これは多くが枯渇する水資源に依存。

こうした事実から、単なる一時的な危機ではなく、慢性的な欠乏と不可逆的な損失が既に起きていると結論づけています。

なぜ水破産なのか
これまでの「水危機」は、あくまで一時的な不足や異常気象の影響と捉えられてきました。しかし、この報告書は、
• 気候変動や人間活動により水の供給と貯蓄が慢性的に減少していること
• 多くの場所で元に戻せないレベルに到達していること
を根拠に、「ポスト危機時代」=回復不能な状態へと世界が入ったと述べています。

水破産の影響
報告書では、水破産が単なる環境問題に留まらず、
• 貧困層や水アクセスが不安定な人々への影響
• 食料供給、安全保障、移住との関わり
• 水を巡る不平等や国際的な緊張
など公平性や社会安定に直結する課題として警告しています。

今後の方向性と提言
報告書は、水破産の危機に対し、次のような対応を提案しています:
・根本的な“水の破産管理(bankruptcy management)”へ移行
・ 科学的な水収支の透明性を確立
・自然の水資本(淡水、湿地、地下水)の保護
・公平で回復力のある水政策への転換
これらによって将来的なリスクを軽減し、各国が協力的な対策を進めることを呼びかけています。

日本は水資源に恵まれていますが、天候異変で地域的な水不足も発生しそうです。そして世界規模の水破産は、穀物価格や食品価格の高騰につながり食料自給率の低い日本に大きなダメージを与えます。食糧危機は難民の増加に直結し、政情不安から紛争の多発を招きます。
地球規模の天候異変の要因も大きいと考えられる水破産は、日本にも多大な影響を及ぼしそうです。